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アガサ・クリスティの作品に見るエニアグラムのタイプ~タイプ4

こんにちは、随分更新をさぼってしまいました。
実のところ、冬に入っていきなり創作熱が高まってしまい、そちらにかまけていたせいです。
コミケ等から足を洗って10年近く、再び萌えの神が降臨するとは思いませんでしたorz
そちらは目に付かないところでひっそりぼちぼちやっていくことにしました。


今回は年末ということもありますので、閑話休題的に小説の中に現れる
タイプの特徴を見て行きたいと思います。
映画にしろ小説にしろ、人物がうまく描けているなと感じる作品に共通するのは、
作者が意識せずとも、エニアグラムのタイプの特徴を一貫して描いていることです。
エニアグラムでは、人が好調の時と不調の時の心の動きを説明しています。
また、精神的な成長の段階も説明されています。
これをよく呑み込んでおくと、描写された人物に「筋が通っているか否か」が分かります。
ガラリと人が変わったといっても、エニアグラムの考え方ではある一定の範囲内で
変化するとされているので、そこからはみ出した描写はどうしても違和感があるのです。


さて、ごく普通の恋愛小説でもサスペンスでもいいのですが、私がここで取り上げるのは
アガサ・クリスティのミステリです。
上質のミステリというのは、登場人物がある一定の記号になっていて、それでいて魅力があり
一貫した行動をとるように描かれているものだと考えます。
ですからそういうものを読めば、おのずとあらゆるタイプの魅力や短所の部分が学べるのです。
今回はその中でもタイプ4が素晴らしく描かれていると、私が思った作品を採り上げます。

まずは「鏡は横にひび割れて」(橋本福夫訳:ハヤカワ・ミステリ文庫版)です。
ミス・パープルもので、彼女の住む小さな村セント・メアリ・ミードが舞台。彼女の友人である
バントリー夫人の旧宅ゴシントン・ホールを有名映画プロデューサーと大女優の夫妻が購入し、
改装後の野戦病院記念パーティである殺人事件が起きて…というストーリーです。
ここに登場する大女優、マリーナ・グレッグが正しく芸術家肌のタイプ4です。
彼女の描写の端々に、タイプ4らしさが現れていますので、一部抜粋いたします。


背がスラリと高く、柳のような身体つきだった。顔や頭のかたちにはグレタ・ガルボを連想させるような
美しさがあった。彼女は単なるセックスよりも個性を映画に持ち込んだ女優だった。不意にかしげた
頭のかっこう、深みのある美しい眼の見開きかた、唇のかすかなふるえ、そうしたものが、ハッと
息をのまされるような愛らしさをもたらした。それはととのった容姿からくるもではなく、観客の
不意をおそう一種の肉体的な魔術だった。(中略)自分のうちにひっこみ、もの静かなよそよそしい
態度に出て、熱心なファンを失望させることもできた。そうかと思うと、つとかしげた頭のかたち、
手の動き、不意に浮かべたほほえみで、魔術を再現させることもあった。(P46-47)


セックスアピールよりも「個性的」な美で頭角をあらわした女優、という位置づけです。
ほっそりとして繊細で、気分によって冷たくも愛らしくもなる、そうした特徴がよく分かります。


「相手が幸福になれるたちの人でもないかぎりはね」とバントリー夫人は助け舟を出した。
ついで、考え顔になり、こうつけ加えた。「なかには不幸を愉しんでいる人もあるし」
「ところが、マリーナはそういうふうでもないのですよ」エラ・ジーリンスキーは首を振った。
「あの人の場合は感情の起伏がはげしすぎることのほうが原因なのです。よくあるでしょう--、
一瞬間は有頂天な幸福さにひたり、何もかもが嬉しく、何もかもが愉しく、すばらしく
感じられるかと思うと、次の瞬間には何か些細なことが起き、そのとたんに今度は逆の極端に
おちいるというふうなのですから」
「きっとそれは特異な気質のせいなのでしょう」とバントリー夫人は漠然とした言い方をした。(P56)


極端な感情の起伏に本人自身が一番傷ついてしまう、タイプ4らしい姿が周囲の人物から
説明されています。いつも鬱状態ではなく、素晴らしい幸福感にはしゃぐのもタイプ4の姿です。


「わかりませんか?説明するのは少々厄介なのですよ。理解してもらうには、マリーナという
人間のことを知っていてもらわねばなりませんから。マリーナは幸福感と安定感をぜひとも
必要としている人間なのです。今までの生涯は物質的な意味では非常に成功でした。
芸術的にも名声を博しましたが、私生活のほうはこの上もなく不幸なものだったのです。
幾度となく幸福を見出したと思いこみ、有頂天になったかと思うと、その希望をみじんに
うち砕かれてしまうしまつでした。クラドックさん、マリーナは合理的で慎重なものの考え方の
できない人間なのですよ。今までの幾度かの結婚でも、あのひとは、まるでおとばなしを読む
幼児みたいに、今後永久に幸福に暮らせるものと期待したわけです」(p136)


自分が持っていない素晴らしいものを手に入れたら、全てが幸福でうまくいくという思い込みと、
それが手に入ったとたん理想どおりではないことに絶望してしまうタイプ4らしい遍歴が
マリーナの夫であるプロデューサーのジェースン・ラッドから語られます。


クリスティの作品は、一時彼女がウェストマコット名義で普通小説を書いていたこともあって、
記号的でありながら、人物の細やかな描写が性格の研究に使うには適しています
この作品には、タイプ2やタイプ7であろう人物も登場しますので、まだ未読の方は
ぜひ読んでいただいて、タイプ4に対する素晴らしい描写をお楽しみいただければと思います。
次回は同じクリスティ女史の、別のタイプが登場する作品をご紹介します。


今年一年、大変お世話になりました。
来る年が皆様方にとって良いものでありますよう。引き続きよろしくお願い申し上げます。



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テーマ : モノの見方、考え方。
ジャンル : 心と身体

プロフィール

whitebellsweet

Author:whitebellsweet
武蔵国府在住の兼業主婦。
エニアグラムコーチングの
インストラクター過程修了。
タイプは3w2。
ワークショップやセミナーの予定は
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スケジュールページでご確認ください。
趣味はベランダでのバラ栽培。
音楽(HR/HM、プログレ、古楽など)。
フィンランドのとあるバンドが大好きです(^^;;

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